キレイな日本人 季節のお便り

  常養学専科講師   池田  泰子

日本に暮らす全ての日本が好きな方たちへ。

日本の風土に培われた知恵を、暮らしの中に取り入れてきた日本人。

その知恵がしなやかな日本の風習となり、力となり時代とともに文化として人に寄り添ってきました。

毎回、WEB上で大変な人気を呼んでいる、池田泰子リーダーの季節のお便り。

日本人として、変えてしまってはいけないものがきっとここにはあるはずです。

 

 

 

 


季節のお便り88

 

〜 節分 〜

 

今日は、節分。

二十四節気の最後で大晦日に当たる節目の日です。
豆まきをして一年の邪気を祓いましょう。
語呂合わせで、「魔(鬼)目に豆を当てて魔滅する」と言われます。
拾い損ねたお豆から芽が出て災いが起きないように煎ってからまきましょう。
旧暦では一年は立春から始まると考えられていましたから、数え年としてや新しい歳の厄除けとして、歳の数よりお豆は一つ多く食べるようになったそうです。
極寒の季節に弱りやすい腎の働きを高めてくれる福豆をいただいて、健康な一年を過ごしたい。という願いが込められているのですね。腎の食養になるのは、形が類似したお豆類です。金時豆(キドニービーンズ)のキドニーは腎臓のことです。
節分は、中国から藤原京の時代に「追儺ついな」「鬼儺おにやらい」という厄払いの儀式として伝わり、陰陽五行に基づいて宮中の年中行事として行なわれるようになりました。
陰陽五行では鬼の出入りする方角は北東、つまり鬼門とされています。子(ね)を北として十二支を時計回りに配置していたので、鬼門=北東は丑寅(うしとら)の方角となります。つまり、鬼は頭に牛の角、虎縞パンツ姿というわけなのです。
風水学の方位でも、鬼門にあたるので、鬼は不幸や天災の象徴です。鬼門を封じて、災い転じて福となしましょう。

そんな伝統に思いを馳せつつ、今年の節分も「鬼」を退治して、立春2月4日=新しい春を迎えましょうね。

福は内!鬼は外!



季節のお便り87

 

〜 寒中お見舞い 〜

 

みなさんは『寒中お見舞い』をお出しになりますか?
「寒中見舞い」とは、季節のご挨拶の他に、喪中のため年賀状が出せなかったり、お相手が喪中の場合の年賀状の代わりとしてや、年賀状の返礼が松の内(1月7日)までにできなかった場合に使われます。
他に、喪中と知らずに年賀状を出してしまった時のお詫びとお悔やみとしてや、こちらの喪中を知らずに年賀状をもらった場合はお相手に喪中のお知らせとお詫びを兼ねても使えます。

「寒中」とは二十四節気の「小寒」と「大寒」の間のことで、この間に出すご挨拶状が『寒中見舞い』と言われています。
出し終わりは節分の2月3日(立春の前日)までと言われていますが、始めに関しては3つの考え方があるようです。
・「小寒」の1月5日から。
・門松などを片付ける「松の内」1月7日を過ぎてから。
・関西の「松の内」1月15日を過ぎてから。
寒中を過ぎた時は「余寒」を使いましょう。

喪中の場合にはこちらに気をつけましょう。
・年賀葉書はしようしない。
・お正月に関係する写真やイラストは使わず、落ちついたデザインにする。
・「お年賀状」ではなく「お年始状」とする。
・「拝啓」「敬具」などの頭語や結語は使わない。
・喪中葉書を出していない場合は、お詫びを一文添える。



季節のお便り 86

 

〜 冬日と真冬日 ご存知ですか? 〜

 

『冬日』と『真冬日』について。

今日は全国的に寒い一日でしたね。
九州でも午前中、雪❄️が舞いました。

『冬日』は、最低気温によって、
『真冬日』は、最高気温によって決められています。



季節のお便り85

 

〜 モミジとカエデって違うの?〜

 


区別されているのは日本だけ。
英語では、モミジもカエデもメープルです。

どちらも、カエデ科カエデ属で、紅葉するのがモミジと呼ばれています。

モミジ
葉の切れ込みが多く深いもの
語源は、紅花から染料を「揉(も)み」出した色の様のようだから。
カエデ
切れ込みが少なく浅いもの
語源は「蛙の手→かえるで」らしいです。

は娘の手づくりの米粉のモンブランです。



季節のお便り84

 

〜 山 装う 〜

 

今年も日本の秋を彩る紅葉の季節となりました。
まるで山々や木々が、おしゃれな色とりどりのコートを羽織ったかお化粧でもしたかのよう。

お買い物の帰り道、鮮やかな色に誘われて、落ち葉拾いをしてしまいました。
春にはお花見、秋になると紅葉狩りに行く方も多いのではないでしょうか?

私たちは紅葉を見ることで、前頭葉が活性化され「セロトニン」が分泌されストレスが緩和させているそうです。
他にも体調を整えたり睡眠を改善したり、アンチエイジング、学習力アップするなどうれしい効果が明らかになっているようです。

紅葉の赤い色はポリフェノール類のアントシアニン。
ポリフェノールには、強い抗酸化作用があり活性酸素を抑制したり免疫力を上げたりする効果が知られています。

大阪の箕面山は紅葉の名所で、紅葉した『もみじの天ぷら』が名物です。
約1300年前、この山は修験道場で、修行していた行者が滝に映えるもみじの美しさを称え、灯明の油で天ぷらを作って旅人に振舞ったのが「もみじの天ぷら」のはじまりと云われ、お土産品としては明治の初めに箕面大滝付近で売られたそうです。
もみじの天麩羅は、天麩羅というよりもかりんとう。
作り方は結構手間がかかるようで、一行寺と呼ばれるもみじ葉を1年塩漬けにしてアクを抜いて、塩抜きしてから、白胡麻入りの甘い小麦粉の衣をつけて揚げています。
もみじ葉の味はわかりませんが、ほんのり甘くカリカリした食感が後を引く、形の可愛らしさを楽しむスナック菓子という感じです。

もみじの天麩羅のはwebからお借りしました。

 



季節のお便り 83

 

〜 金木犀のロマンティックなお話 〜

 

秋になると、どこからともなく漂ってくる金木犀の甘い香り。
ノスタルジックな思い出を呼び起こされませんか?
私たちを惹きつけるなんとも魅力的なお花の命は儚く、一週間ほど。
今年は急な冬のような寒さと長雨で、早くも散ってしまいそう。

今回は、祖母から聞いた中国に伝わる金木犀のロマンティックなお話をいたしましょう。
月には金木犀の樹があり、お花が咲き始めると月が満ち始め、満月の夜には満開になるそうなのです。
月いっぱいに咲きほこる金木犀、な〜んてロマンチックなのでしょう。

また、月には金木犀のお花のように美しく香り立つ女神、嫦娥(じょうが)と、男神、呉剛(ごこう)がいると信じられておりました。
嫦娥が月のお城から下界を見下ろしていると、湖のほとりで人々が楽しそうにお月見の宴を開いておりました。
その日はちょうど中秋の名月だったのです。
すると、湖面に黄金色の波が立ち、そのあまりの美しさに嫦娥は思わず踊りだしました。
それをみた呉剛も、花盛りの金木犀の幹をたたいてリズムをとりました。
樹からぱらぱらと降ってきた黄金色の小花を、嫦娥は両手ですくい、下界へパラパラと落としたそうです。

月から地上に落ちてきたお花から、金木犀が咲くようになった。というお話でした。



季節のお便り82

 

〜 お月見のお供 〜

 

これらは全部、お月見団子です!
みなさんの地方はどんなお団子をお供えしますか?
九州生まれの私は、絵本などでよく見かける白いまん丸型です。
横浜で生まれ育った祖母もこの形でした。

同じ九州でも変わった形は、沖縄の『ふきゃぎ』です。
お団子ではなく、お餅に魔除け効果のある黒小豆を塩味で炊いて潰さずにからめるそうです。
小豆をつぶすと魔除けの効果が弱くなるそうです。

関西では、楕円形のお団子にあんこを帯 状にかけて、里芋のきぬかつぎや月にかかった雲に見立てています。

中国、四国地方は、『串団子』

静岡は、『へそもち』
徳川家康が今川氏の人質として駿府城にいた竹千代(5〜8歳)時代に、三河からの付き人が元気に丈夫に育つようにとの思いから、餅に「へそ」を作り、そこにあんを添えたと伝えられているそうです。

名古屋は、外郎(ういろう)生地のしずく型。

青森県・岩手県は、お団子ではなくお饅頭。

いろいろ食べ比べてお月見をしてみたいですね。



季節のお便り 81

 

〜 彼岸花 〜

 

風を浴びきりきり舞いの曼珠沙華 抱きたさはときに逢いたさを越ゆ 吉川宏志

燃えるように赤い彼岸花の開花は、ほんの一週間ほど。
時として妖しくも不気味にさえ感じてしまうのは私だけでしょうか?

このお花は、「彼岸花」の他にたくさんの呼び名があり驚かされます。

よく知られている「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」は、サンスクリット語(梵語)で”天上の花”という意味。
”天上の花”とは、おめでたい事が起こる兆しに赤い花が天から降ってくるという仏教の経典から来ています。

英語ではスパイダー リリー (Spider lilies蜘蛛ゆり)
クラスター アマリリス (Cluster amaryllis 集団のアマリリス)
ハリケーン リリー (Hurricane lily台風のゆり)

学名の「リコリス(Lycoris)」は、ギリシャ神話の女神名前からとられたものです。

お花の形から「狐のかんざし、狐の松明、火炎花」とも呼ばれています。

根にアルカロイド系の毒があることから、「毒花、痺花、苦花、地獄花」と呼ばれ、土葬の時代にはモグラや野ネズミを近づけないように、墓地などによく植えられていました。
それで、「死人花、地獄花、幽霊花」と怖い呼び名もついています。

根の部分のデンプンが、飢饉の備えとして栽培されてもいました。
根に含まれる毒は水にさらすことで取れるそうですが、むやみに食したりしないようにしましょう。

また、韓国では、「相思華」と呼ばれています。
普通の植物は花と葉が一緒ですが、このお花は全く正反対のパターンを持っていることから「葉は花を思い、花は葉を思う」という意味が語源らしいのです。
お彼岸が明ける頃から花は枯れ、葉を茂らせて冬を越します。
春は光合成をして球根に栄養をため込みます。
夏には葉を枯らし、また、お彼岸の頃に花を咲かせます。

花言葉は、「情熱・再会・あきらめ・悲しき思い出・想うはあなた一人」

撮影は、キレイな日本人 池田晃一氏です。



季節のお便り 80

 

〜処暑と残暑お見舞い〜

 

8月22日は、1年を24つの季節に分けた二十四節気のひとつ『処暑しょしょ』でした。
”暑さが止む” という意味があるそうで、お盆も過ぎてやっと朝晩は少し涼しくなったかと感じます。
そろそろ暑さのピークを過ぎたようですね。

お盆も過ぎたこの季節、暑中見舞いをいただいたのに、お返事が未だの方や残暑お見舞いはいつまで?と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

残暑お見舞い状は、未だ間に合います!

二十四節気の季節は次の順に巡ります。
小暑(7月7日頃)→ 大暑(7月22日頃)→ 立秋(8月7日頃)→ 処暑(8月23日頃)→ 白露(9月日)

残暑お見舞いは処暑まで。という考えもありますが、次の二十四節気の季節の 『白露はくろ』の前日までが処暑の期間ですので、8月中にお出しすればよいとされています。

夏のご挨拶。
暑中見舞いと残暑見舞いは、立秋を境に切りかえると覚えておきましょう。
暑中見舞いは、大暑からまたは梅雨明けから立秋までに届くようにお出しするのが通例でしたが、最近では、小暑からでも良いとされるようになりました。

私も昨日急いで、残暑お見舞いをいただいてお返しをしていなかった方に、秋を感じる虫かごの葉書をお出ししました。

📷残暑お見舞いによく使う私の好きな虫かごの柄です。
Webからお借りしました。



季節のお便り78

 

〜 寒天 ・ 心太(ところてん) 〜

 

夏本番。
冷たいものがほしくなる季節ですね。
かといって、冷たいものばかり食べていると、胃腸が疲れて食欲減退、夏バテを引き起こす原因にも。
今回は、ふるふるっ、つるんとした「体を冷やしすぎない寒天と心太」のお話です。

『寒天』も『心太』も海藻から作られているので、食物繊維や不足しがちなカルシウムなどのミネラルもバランス良く摂ることができます。
おいしく食べて、生活習慣病予防にも一役買ってくれるヘルシーな食品です。
また、”デトックスの王様”とも呼ばれ、体内に溜まった有害物質や毒素を吸着して排出してくれる ”腸のお掃除役” でもあります。
カロリーはほぼゼロとうれしいことづくしですね。

『心太』が日本に伝わったのは、精進料理のこんにゃくなどと同じで大変古く、奈良・平安時代には上流階級のぜいたくな食べものとして、からし酢をかけて食べていたそうです。
江戸時代になって、京都伏見の美濃屋太郎左衛門が、偶然凍結した『心太』から『寒天』を発見。
いわば、『寒天』は『心太』のフリーズドライです。
現代の『寒天』は、天草(てんぐさ)やエゴノリなどの海藻を煮た後に凍らせて不純物を取り除き乾燥させています。

『心太』の呼び名は、どろどろに溶けて煮こごり状の様子をこごる藻葉(コゴルモハ)、その後「ココロテイ」「ココロテン」と呼び名を変え、江戸時代には今の呼び名であるこの漢字が当てられたそうです。
『寒天』の名付け親は日本にいんげん豆などを伝えた明僧、隠元禅僧といわれています。

『寒天』とゼラチンは、よく似ていますが、実はまったく違うものです。
『寒天』は100%植物由来ですが、ゼラチンは牛骨や豚皮などの蛋白質から作られています。
大量にゼラチンを抽出するには、どうしても化学的な薬剤を使った抽出をしなければならず、体への安全性は不透明なままです。

心太は酢醤油派?黒蜜派?
関西では黒蜜をかけて食べることがあります。
奈良~平安時代、貴族の間では中国から輸入された貴重な砂糖が流行して、心太を黒蜜で食したようです。
また、当時は砂糖も薬の一つとされ関西には薬種問屋が集中していたため、一般にも浸透していったと考えられています。
まだ、2カ月あまり続く暑さをお健やかにお過ごしくださいね。



季節のお便り 77

 

〜 夏越の大祓え(なごしのおおはらえ) ・ 茅の輪くぐり (ちのわくぐり) 〜

 

2年前、茅の輪の吹き替えという滅多に出来ない素晴らしい経験をさせていただきました。

明日から7月。
旧暦の6月と12月の晦日みそか(月の最後の日)にケガレを落として、健康と厄除けを祈願するのが「夏越の大祓」と「年越しの祓」です。
厄落としの方法として「茅の輪くぐり」が行われます。
茅の輪とはチガヤという草で編んだ輪のことで、神社の境内に作られた大きな茅の輪の中を「千歳(ちとせ)の命延(の)ぶというなり」と唱えながら8の字を書くように三度くぐり抜けます。

茅の輪の他に、紙や藁(わら)でできた人の形をした人形(ひとがた)、人形代(かたしろ)に自分の罪やけがれ、災いなどを移し、祓い清めて川や海に流したり、お焚きあげをしたりする神事もあります。
ご朱印を集めている方にとっては、期間限定のご朱印を授与される神社もあり、楽しみですね。

これらの由来は、神話の伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の禊祓(みそぎはらひ)にまで遡るとされ、このことと祓えに食べる伝統和菓子の水無月(みなつき)については、改めてお話させていただきましょう。

伝統を受け継いでいくことが、材料不足、道具不足、後継者不足などから困難な時代になってきています。
私たちの世代、私たちの子どもたちの世代、そのまた子どもたちにも伝え続けたいと願うご高齢のボランティアのみなさまに支えられているのが現象です。

私も季節のお便りの発信や季節の設えやお料理を通じて、できることから。
これからもお伝えし続けてまいります。