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季節のお便り 藤 その1

【 藤 その1】


︎福岡県八女市の黒木の大藤。
国の天然記念物にもなっている樹齢600年の藤の花が、三密を避けるため刈り取られたニュースが流れました。
お花に罪はないのに。と語る関係者の言葉が印象的でした。

 

例年ならば、GWの後半全国各地で藤祭りが開催されているようですが、今年は去年のアルバムを開いて、お家で過ごしています。

写真の藤は大分県の西寒田(ささむた)神社の野田藤(のだふじ)です。1m近くにもなる花房が特徴で、香りも強く圧倒されます。

 

藤は振り袖姿の女性のようだと言われますが、みなさんにはどう見えますか?
私には、静かに降り注ぐ雨のようにも見えます。

日本古来の花木とされ、万葉集では、風になびく姿を波に見立てて、"藤波" "藤浪"とも呼ばれて詠まれています。

 

藤を女性に、松を男性に喩(たと)え、対にして近くに植える習慣があったそうです。
清少納言は枕草子の中でこのように、男女の愛を詠んでいます。

 

    〜 色あひふかく 花房長く咲きたる藤の花 松にかかりたる

 

この時代から繁殖力が強く長寿がゆえ、めでたい植物とされ、上り藤や下り藤など家紋とされました。
日本で最も栄えた藤原氏は下がり藤の紋でしられています。
平城京がおかれた奈良近辺に藤は多く植えられ、春日大社では花房が2メートル以上の房が鈴なりに咲くそうです。
見てみたいものですね。